FLAG BASICS
国旗の基礎知識
国旗を見ていると、不思議なことがたくさんあります。
どうしてネパールの国旗だけ四角くないのでしょうか。どうしてスイスの国旗は正方形なのでしょうか。なぜ赤・白・青を使った国旗が世界中にたくさんあるのでしょうか。よく似た国旗があるのは偶然なのでしょうか。そして、そもそも「国旗」は誰が決めているのでしょう。
国旗は、ただ国を見分けるためのマークではありません。形、色、模様、歴史、使い方まで見ていくと、その国について知るためのたくさんの入口が見えてきます。
ここでは、国旗を見るのがもっと楽しくなる12の基本を紹介します。難しい言葉を覚える必要はありません。まずは、「国旗ってこんなに奥が深いんだ」と感じてもらえれば十分です。
国旗って、そもそも何?
国旗は、その国を表す代表的なシンボルの一つです。政府機関に掲げられたり、国際会議で国を示したり、オリンピックなどのスポーツ大会で選手と一緒に登場したりします。私たちは国旗を見るだけで、「日本だ」「フランスだ」「ブラジルだ」と国を見分けることができます。
でも、世界中の国旗を決める一つの共通ルールがあるわけではありません。憲法で詳しく決めている国もあれば、法律で定めている国もあります。公式な規格や長年の慣習によって使われている場合もあります。
つまり、国旗はどの国も同じ仕組みで決めているわけではないのです。それを知るだけでも、国旗の見え方が少し変わってきます。
KOKKI EARTHでは、国旗に加えて一部の地域の旗も取り上げ、世界の198か国・地域を紹介しています。
国旗は誰が決めるの?
「国旗のデザインは誰が決めるの?」実は、答えは国によって違います。
たとえばネパールでは、憲法に国旗の形だけでなく、作図方法まで示されています。日本では「国旗及び国歌に関する法律」で日章旗の形が定められています。スイスでも、連邦法によって国旗やスイス十字について定められています。
一方で、国旗そのもののデザインと、「いつ・どこで・どう掲げるか」というルールが別々になっている国もあります。カナダでは、一般の人が国旗を掲げる際のエチケットは、法律で強制するものではなく、長年の慣習をもとにした指針として説明されています。一方、連邦政府の施設や行事では政府のルールが適用されます。
国旗を見るときは、「デザインのルール」と「使い方のルール」は別かもしれないと考えると分かりやすくなります。
国旗は全部長方形なの?
世界の国旗を並べると、長方形がとても多いことに気づきます。でも、全部ではありません。
ネパールの国旗は、二つの三角形を組み合わせた独特の形をしています。スイスの国旗は正方形です。バチカン市国の国旗も、2026年基本法のAnnex Aで正方形のモデルとして示されています。
さらに、長方形の国旗でも縦と横の比率は国によって違います。カナダは1:2ですし、ほかにもさまざまな比率があります。ですから、「国旗はだいたい全部2:3」という覚え方は正しくありません。
国旗を見るときは、色や模様だけではなく、形そのものもデザインの一部として見てみてください。ネパール、スイス、バチカン市国を並べるだけでも、「国旗って意外と自由なんだ」と感じられるはずです。
二つの三角形を重ねた、非長方形の国旗
法律で正方形と定められた国旗
2026年基本法のAnnex Aで正方形として示される国旗
赤や青には決まった意味があるの?
国旗の色を見ると、「赤は勇気」「青は自由」「白は平和」のような説明を見かけることがあります。でも、これを世界共通のルールだと思わないことが大切です。
同じ赤でも、その国の歴史、王朝、独立、犠牲、民族、自然など、まったく違う背景から使われることがあります。さらに、すべての国が国旗の一色一色に公式な意味を決めているわけでもありません。南アフリカ政府は、自国の国旗について、個々の色に一つの決まった意味を当てはめるべきではないと説明しています。
だから国旗の色を見るときは、「この色は一般的に何を意味する?」ではなく、「この国ではなぜこの色なの?」と考えてみるのがおすすめです。それだけで、国旗から歴史へ興味が広がっていきます。
星・月・十字などの模様には何がある?
国旗には本当にいろいろなものが描かれています。星、太陽、月や三日月、十字、動物、植物、文字、紋章、幾何学模様。同じ星でも、一つだけ描かれている国旗もあれば、たくさん並んでいる国旗もあります。同じ十字でも、歴史や形、色は国によって違います。
面白いのは、同じ形だからといって意味まで同じとは限らないことです。まずは、「何が描かれている?」「いくつある?」「どこにある?」と観察してみてください。意味を調べるのは、そのあとです。
特徴的な国旗図鑑では、星や十字、動物などから実際の国旗を探せます。覚えられたか試したくなったら、国旗クイズにも挑戦してみてください。
国旗と国章は同じもの?
似ていますが、同じものではありません。国旗は「旗」です。一方、国章や紋章は、その国を示す別のシンボルです。
国旗の中に国章や紋章が入っている国もあります。逆に、国旗はとてもシンプルなのに、国章は細かな図柄で作られている国もあります。さらに、coat of armsとnational emblemも、国や制度によって少し意味が違います。すべてを日本語の「国章」だけで完全に置き換えられるわけではありません。
最初は、「国を表すシンボルには、国旗以外にもいろいろある」と覚えておけば十分です。国旗をきっかけに国章や紋章まで見ていくと、その国の歴史が一気に見えてくることがあります。
一つの国に国旗は一枚だけ?
これも、実はそうとは限りません。国によっては、誰が使うか、どこで使うかによって違う旗があります。一般の人が使う旗、政府が使う旗、軍が使う旗。さらに海上では、船に掲げるための旗が別に用意されていることもあります。
旗章学では、civil flag、state flag、war flag、civil ensign、state ensign、naval ensignといった言葉を使って整理することがあります。ただし、すべての国がこれらの用途ごとに違う旗を持っているわけではありません。同じデザインをいくつもの用途で使う国もあります。
難しい名称をすべて覚える必要はありません。「一つの国でも、用途によって別の旗がある場合がある」と分かれば、国旗の世界がもう一段広く見えてきます。
国旗を縦に飾るとどうなる?
ここも意外に面白いところです。横向きの国旗を、そのまま90度回転させればよいとは限りません。国によってルールが違います。
カナダでは、国旗を縦に掛けたとき、見る人から見てカエデの葉の上側が左を向くように案内されています。南アフリカでは、縦に表示するときの赤い帯の位置などについて政府が説明しています。文字や紋章が入った国旗では、縦にしたときに図柄の向きを調整する場合もあります。
つまり、横向きの国旗を縦にする方法にも、その国ごとのルールがあるということです。街や学校、イベント会場で縦に掲げられた国旗を見つけたら、いつもと何が違うか観察してみるのも面白いです。
国旗には「正しい扱い方」があるの?
あります。ただし、そのルールも世界共通ではありません。
いつ掲げるか。複数の国旗をどの順番で並べるか。半旗にするときはどうするか。傷んだ国旗をどう扱うか。こうした決まりは、国によって法律、政府の指針、儀礼、慣習などさまざまです。
有名なのがアメリカのFlag Codeですが、これはアメリカ国旗についてのルールです。ほかの国の国旗まで同じ方法で扱わなければならない、という意味ではありません。国旗を大切に扱うという考え方は多くの国で見られますが、具体的な方法はその国ごとに確認する必要があります。
どうして似ている国旗があるの?
世界の国旗を覚え始めると、かなり早い段階でこの疑問にぶつかります。「これ、さっき見た国旗とそっくり!」でも、似ている理由は一つではありません。
共通する歴史がある場合もあれば、同じ地域で広まったデザインを受け継いでいる場合もあります。北欧諸国では十字を使ったデザインが共通して見られます。アフリカには、いわゆる汎アフリカ色と関係のある国旗があります。アラブ諸国にも共通する色の組み合わせが見られ、三色旗というデザインの伝統もあります。一方で、歴史的なつながりがなくても、結果としてよく似た国旗になることもあります。
たとえば、ルーマニアとチャド、インドネシアとモナコ、オーストラリアとニュージーランド。KOKKI EARTHでは、「似ている」ことと「同じ由来を持つ」ことを分けて見ることを大切にしています。
似ている国旗で、どこが同じで、どこが違うのかを見比べてみましょう。北欧諸国の公式協力サイト ↗
国旗は途中で変わることもある?
あります。むしろ国の歴史を追っていくと、国旗が変わる例はたくさん見つかります。
国が独立したとき。政治の仕組みや国名が変わったとき。国章や紋章が変更されたとき。細かな色や形の規格だけが修正される場合もあります。たとえば南アフリカの現在の国旗は、政府によると1994年4月27日に初めて使われました。
ここで面白いのは、「初めて使われた日」「正式に決まった日」「細かな仕様が決まった日」が必ずしも同じとは限らないことです。昔の国旗と現在の国旗を並べると、その国の歴史そのものが見えてくることがあります。
国旗をもっと深く見るためのコツ
国旗を正確に知りたいときは、画像だけを見て終わらせないことが大切です。形はどうなっているか。縦横比は何対何か。色はどのように決められているか。星や紋章はどこに配置されているか。どの用途で使う旗なのか。いつ現在の形になったのか。そして、できれば政府や法律などの公式資料まで確認します。
でも、最初から全部調べる必要はありません。まずは、「なぜこの形なんだろう?」という一つの疑問から始めれば十分です。
国旗は、小さな一枚のデザインの中に、地理、歴史、文化、制度、自然など、さまざまなものが詰まっています。一つの国旗から、一つの国を知る。そこから隣の国へ進み、似ている国旗を比べ、世界全体へ興味を広げていく。それが、KOKKI EARTHで一番楽しんでほしい国旗の学び方です。
198か国・地域の国旗一覧から気になる国を選び、世界のランキングで国どうしを比べることもできます。
参考資料
このページで紹介した具体例やルールは、各国政府、法律、公的機関、旗章学資料などを確認してまとめています。国旗の法律や公式仕様は変更される場合があります。実際に国旗を掲げたり、正確な仕様が必要になったりした場合は、各国政府などの最新情報を確認してください。